ペットのために②

 前回の投稿でペットのためにしてあげられることとして、「遺言書の活用」を取り上げましたが、負担を伴う遺言には大きな問題点があることを指摘させていただきました。

 この回では、その問題点について触れていきたいと思います。

【その1】受遺者の遺贈の放棄

 ペットのお世話をしてもらうことを条件に財産の一部又は全部を渡された相手方(受遺者)は、その旨が遺言書に書かれていたとしても、義務を負うのが嫌になった場合、遺贈を放棄することができます。

【その2】ペットのその後

 遺言書に「遺言執行者」を指定していた場合でも、遺言執行者は遺言が執行され、財産の一部又は全部とペットを受遺者に渡した時点で、職務は完了してしまいます。 ペットのお世話をするという条件を満たさない場合は、遺言執行者は受遺者にきちんとお世話をするように伝える義務はあるものの、場合によっては、途中でお世話するのを放り投げられたり、注意を促したことで要らぬ争いを招くことも考えられます。 そもそも遺言執行者がこまめにその様子を確認することは難しいのが現状です。 仮に受遺者が適切なお世話をしていなかった場合は、とても残念なものになってしまいます。

【その3】遺留分について

 相続人には、自ら請求することで財産の一定割合がもらえる権利、いわゆる「遺留分」という権利があります。 仮に遺言の内容が、この遺留分を超えてペットのお世話をするための費用として、相続人とは関係のない人に財産を渡すように設定された場合、遺留分としてもらえたはずのものがもらえなくなったと主張する人が出てくる可能性もあり、要らぬ争いを招くことが考えられます。 そのような事にならないよう、遺言書を作成する前には、きちんと相続人の合意をもらっておくなどの対応が必要になります。

今回は、ペットのお世話をする負担付きの遺言を作成する場合の問題点を3つほど挙げさせていただきましたが、もっと安全にペットのためにしてあげられる方法はないのか、考えていきたいと思います。