相続について
「相続」とは、死者の生前にもっていた財産上の権利義務(土地・建物などを使用したり賃貸したり、預貯金を運用や処分することなどです。)を他の者が包括的に承継(特定者のみが対象となる一身専属的なものを除きます。)することという定義があり、死者を「被相続人」、承継する者を「相続人」、承継される包括的な財産を「相続財産」としています。
民法上、相続財産は相続人が複数の場合は共有で承継されることが原則ですが、「遺言」により財産を単独の者や相続人とは別の者に引き継がせるなど、遺言者の意思表示のもと、死後に処分することは自由でありこれを認めることが原則になりますが、一方で「遺留分」という制度により遺言の自由にも制約がかかることになります。
過去には「家督相続」という制度がありましたが、この制度は身分や祖名の継承、祭祀の相続なども相続対象となり、武士階級を代表とするいわゆる「家」を主体とした相続制度であり、隠居も相続原因の一つでした。現在は「家督相続」という制度は廃止され、「相続財産」のみを原則相続の対象とし、被相続人の死亡だけを相続原因とすることとされています。